Column ひとこと

無駄なものはつくらない、今あるものを大切に2015/09/30

町を歩いて廻りを見回すと、アパートに限らず、一戸建てでも空き家が増えてきていると感じませんか?
日本の空き家は全国約820万戸(平成25年)、総住宅数に占める割合が13.5%です。
ストックの時代と言われて久しいですが、いまだにハウスメーカーなどは新築を推し進めています。このままいくと、2040年には空き家率が36%~40%になる試算です。

アパートが使い捨てのように扱われていく状況の中でも、さらに土地活用で新しいアパートが次々と建てられていきます。
新築の時は満室でスタートしたとしても、建物が陳腐化し、老朽化していく中で、お金をかけてきれいにするか、賃料を下げるか、何らかの経営努力をしないといけないのですが、それをしたとしても、住人は新しく快適なアパートの方へ移っていきます。

当事務所にも、家をアパートに建て替えようか迷っているというご相談がありました。
敷地100坪程度、築50年の住宅に、現在は子供たちも独立し、60代後半のご夫婦二人だけでお住まいです。広い敷地や建物をかなり持て余しており、維持管理も大変になってくるので、アパートに建て替えた方がいいのではとハウスメーカーに相談したところ、ハウスメーカーは積極的でどんどん勧めてくるが、はたして本当にいいのだろうか、というご相談でした。
家の周りにも、アパートやマンションが立ち並んでおり、空き家も目立つとのことでした。

もちろん土地活用、税金対策でアパートを建てる地主さんもいらっしゃるでしょう。
しかし、現状でも余っているのに、さらにアパートを建てても、満室になるのは新築の時だけでしょう。

また、アパート建て替えをお勧めできない、というか、したくないもう一つの理由は、今の建物をなんとかして残して欲しいという思いがあるからです。

今では築50年以上の建物はとても貴重です。
最近、近所の築50年以上の建物を探して調査する機会があったのですが、普通の民家ではそうそうありませんでした。
壊して建て替えるのは簡単ですが、このままだと、昔の名残を残す古い建物がなくなって、似たような新築住宅、型通りのアパートが建ち並ぶ、味気ない街並みになってしまいます。

ひとつの方法として、シェアハウスをご提案しました。
建物の耐震補強をし、設備等を整え、ある程度リフォームを施せば、間取りはそれほどいじらなくてもシェアハウスに対応できます。
伺うと、部屋数もそこそこあり、お庭も広いので利用価値が十分ありそうです。
それに、昭和の名残を残したレトロな味わいが、かえって若者に注目される可能性が大きいのです。
シェアハウスでなくても、アイディア次第で他のものにも対応できるかもしれません。

「建てよ増やせよ」の時代は終わりました。
無駄なものを安易に増やすのではなく、もっとユニークな、その土地と建物の個性を活かした利用法を考えていかなければならないのではないでしょうか。

(Y.N.)